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私は母乳をあげていない

タイトルのとおりだ。

私は娘に母乳を与えたことがない。

文字通り、一滴も。

 

娘が出産直後に細菌性髄膜炎(G B S)に罹患し、NICUに緊急搬送され、早期治療着手により大事には至らなかったが、母乳からの再感染の可能性が捨てきれないということで、母乳育児をあきらめた。

 

最初は、娘のいない私だけが取り残された産院で搾乳に勤しんでいたのだけれど、結局全て破棄することになったし、2ヶ月近く退院後の母乳育児を目指して、母体単体で母乳の管理をしていたのだけれど、結局それも必要なくなり、出産後2ヶ月で私のおっぱいはその本来の役目を一度も果たすことなく、もとの「体の一部」に戻った。

当然生理もすぐに戻ってきた。

 

当時はあまり気にしてなかった。

だって、せっかく快方に向かう我が子に、自分のわがままで母乳を与えて、それが原因でまた苦しい思いをさせるなんて、そんなこと絶対嫌だったし、何の迷いもなく粉ミルクでの育児の道を選んだ。

それで、娘が無駄なリスクなく育つのであればと。

 

そして今、たまに少しだけ悲しいというか、やっぱり残念だったなというか。

完全に私のエゴなのだけど。

もっとなんか「お母さんにしかできないこと!」ってしたかったなぁと思う。

女性にしか与えられない特権の出産を経験したんだから、そこもやっときたかったよ。

娘と私の関係で、「唯一私にしかできないこと!」っていうの、ちょっと欲しかったな。

 

「粉ミルクなんだから、退院したらみんな育児の可能性についての立場は平等」って感じで、実母にも主人にも哺乳やらオムツの世話やらお風呂やらやってもらっておいて、そんなこというのもなんか、お門違いなのかもしれないけど。

 

自分のおっぱいを自分の産んだ小さな命がのんで育つ。その経験。その欠如。

 

とてもとても大事で貴重だった娘の生後2日目から102日間を、病気のために病院に娘を捕らわれていたことに対する恨みつらみのひとつ。